
トヨタ自動車のワゴン車「ハイエース」を狙った盗難被害が全国で激増し、今年に入って摘発された窃盗団による被害だけでも17都府県1000台に上ることが、読売新聞のまとめでわかった。
盗難による車両保険の支払件数に関する日本損害保険協会の調査でも、ハイエースは昨年、4年連続で最も被害の多かったトヨタのレジャー用多目的車(RV)「ランドクルーザー」を抜いて最多になっている。警察当局では、途上国での需要に加え、RVなどに比べて盗難防止装置の装着が進んでいないことも一因とみている。
警視庁が今年3〜10月に逮捕したスリランカ人の窃盗団11人は、昨年9月からの約半年間で、関東を中心にワゴン車やトラックなど約60台(被害総額約6000万円相当)を盗んだとみられている。うち半数はハイエースで、リーダー格の男が実行犯から1台20万円で買い取り、解体後に横浜港に運んでスリランカやタイなどに密輸していた。
窃盗団の一人は「ハイエースは使い勝手がよく、高く売れた」と供述。密輸先では、改めて組み立てられて販売されたり、タクシーやバスとして利用されたりしていた。部品の互換性も高いため、修理用の部品としても売られ、エンジンを漁船に転用していたケースもあったという。
今年は千葉、愛知、埼玉、神奈川県警や京都府警なども、ハイエースを狙った窃盗団のメンバーを相次いで逮捕。愛知県警に摘発されたグループは、昨年春ごろからハイエースなど数百台を盗んで自分たちの工場で解体し、中東やアフリカに部品を密輸していた。
日本損害保険協会では毎年11月、盗難による車両保険の支払件数を調べており、この調査でも、ハイエースは2005年に9位、06年は5位だったのが、昨年は最多に。一方、RVや高級車は被害の減少が目立っている。
ハイエースの被害急増の背景とみられているのが、RVや高級車との盗難防止装置「イモビライザー」の装着率の違い。トヨタ自動車広報部によると、ランドクルーザーには2000年から全車にイモビライザーが装備されるようになったが、ハイエースは昨年から装備が始まった。
読売新聞より転載


